ワカさんと私たちが関わるようになったのは、
約14年前のことでした。
それより前からずっと、
自宅で一人、
ベッドの上で過ごしてきました。
「施設の飯はまずいだろ。それに、夜は静かに寝たいよ」
そう言って、
施設での暮らしの話になると、
首を横に振りました。
「自由じゃないからな」
以前、
とあるショートステイを利用したときのことが、
残っているのかもしれません。
手元には、ティッシュやごみ箱のほかに、
ペットボトルの飲み物が並んでいます。
「食べたいときに食べたいものを食べるんだ」
買ってきてもらった、
ネギトロ丼を頬張りました。
競馬情報が映っているスマートフォンも、
置かれています。
毎日来るヘルパーさんとも、
たわいもない話をしています。
生協の注文も、
自分でします。
「自分で決められなくなったら、施設も考えるよ」
そう言って、
笑っていました。