No.004 自由じゃないからな

サンプル画像1

ワカさんと私たちが関わるようになったのは、
約14年前のことでした。

 

それより前からずっと、
自宅で一人、
ベッドの上で過ごしてきました。

 

「施設の飯はまずいだろ。それに、夜は静かに寝たいよ」

 

そう言って、
施設での暮らしの話になると、
首を横に振りました。

 

「自由じゃないからな」

 

以前、
とあるショートステイを利用したときのことが、
残っているのかもしれません。

 

手元には、ティッシュやごみ箱のほかに、
ペットボトルの飲み物が並んでいます。

 

「食べたいときに食べたいものを食べるんだ」

 

買ってきてもらった、
ネギトロ丼を頬張りました。

 

競馬情報が映っているスマートフォンも、
置かれています。

 

毎日来るヘルパーさんとも、
たわいもない話をしています。

 

生協の注文も、
自分でします。

 

「自分で決められなくなったら、施設も考えるよ」

 

そう言って、
笑っていました。