No.008 今日も部屋で野球を観る話

【暮らし_008】今日も部屋で野球を観る話_16:9

 

夕方になると、

お嫁さんは介護の仕事を終えて家へ帰ります。

家には、

デイサービスから帰ってきたヒロさんと、

送迎をするご両親がいます。

 

約14年前、

ヒロさんは37歳でくも膜下出血を発症しました。

退院して、

自宅に帰ってきてからずっと、

この家で暮らしています。

リクライニング式の車椅子かベッドで過ごす時間がほとんどです。

話すことはできません。

 

夕食になると、

みんなリビングに集まってきます。

お母さんは、

ヒロさんの体を毎日欠かさずマッサージします。

お嫁さんは、

身の回りのことをします。

 

言葉で気持ちを伝えることはできません。

「今日は少し痛いのかな」「疲れているのかな」と、

ご家族は表情を見ながら、

その日の様子を感じ取ります。

 

担当のケアマネジャーは、

同級生。

退院してからずっと、

この家族を見てきました。

「お嫁さんから『大変』という言葉を聞いたことがないんです。」

 

夕食が終わると、

ヒロさんはエレベーターを使って自分の部屋へ。

好きな野球中継が始まると、

テレビに目を向けます。

2階の部屋では、

今日も野球中継が流れています。