
夕方になると、
お嫁さんは介護の仕事を終えて家へ帰ります。
家には、
デイサービスから帰ってきたヒロさんと、
送迎をするご両親がいます。
約14年前、
ヒロさんは37歳でくも膜下出血を発症しました。
退院して、
自宅に帰ってきてからずっと、
この家で暮らしています。
リクライニング式の車椅子かベッドで過ごす時間がほとんどです。
話すことはできません。
夕食になると、
みんなリビングに集まってきます。
お母さんは、
ヒロさんの体を毎日欠かさずマッサージします。
お嫁さんは、
身の回りのことをします。
言葉で気持ちを伝えることはできません。
「今日は少し痛いのかな」「疲れているのかな」と、
ご家族は表情を見ながら、
その日の様子を感じ取ります。
担当のケアマネジャーは、
同級生。
退院してからずっと、
この家族を見てきました。
「お嫁さんから『大変』という言葉を聞いたことがないんです。」
夕食が終わると、
ヒロさんはエレベーターを使って自分の部屋へ。
好きな野球中継が始まると、
テレビに目を向けます。
2階の部屋では、
今日も野球中継が流れています。